横浜市電修復ノート【2】@久良岐公園

素人が見よう見まねで車体のさびを落とし、ペンキを塗り直すという私たちの唐突な提案に、1156号を管理する横浜市の南部公園緑地事務所の皆さんは「いいお話です」と耳を傾けてくれた。このスムーズさは全国の先例のおかげだ。荒廃した保存車両を見かねて鉄道ファンたちが自主的に修繕する例が、近年相次いでいる。同事務所に提出した企画書に、そういうことをたくさん書いておいた。

同事務所では意外なことも聞いた。「実は近くの塗装業者も修復を申し出てくれているんです」。救いの手は地元にもあったのだ。ただ、これまで市電の処遇そのものが決まっていなかったために、話は止まっていたらしいのだが。

4月半ば、その塗装業者・サカクラ(横浜市磯子区)を上司と共に訪ねた。一見して、社長の坂倉徹さんは当惑した様子だった。「自分たちで直したいと言ったってさあ…」。そりゃそうだ。こっちは弟子入りするぐらいの覚悟で臨んだが、プロの目には頼りなげに映ったに違いない。

けれども、鉄道への愛情は確かにある。「全国には、素人がコツコツ修復して再びレールの上を走れるようになった車両もあるんです」と訴えた。少し間を置いて坂倉さんは「電車なんだから、屋根の上に電線を再現したいな。ライトも点灯させて」と表情を和ませた。これで一緒にやれる、と私はホッとした。

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