ボタンひとつで窓が開いたり、車内に鏡があったり…。アイデア満載の個性的な古参の電車が、相模鉄道にいる。その名は7000系。登場からはや35年になるが、今日もアルミ車体をキラリと輝かせ、軽やかに走っている。
「自動窓」と記された大ぶりのボタンが、窓の脇にある。押すと床下の油圧式シリンダーが作動し、ゴゴゴ…とガラスが開閉する。全国でも珍しい、相鉄独自の仕掛けだ。
7000系がデビューした1976年は冷房のない車両がまだあり、陽気のいい日に窓を開ける習慣が一般的だった。自動窓はそれを少しでも楽に、と開発されたものだ。窓の開閉ボタンの上には扇風機のスイッチがあり、これもお客が自由に操作できる。何と“風通し”のいい電車だろう。
車内のそこここにある鏡も特徴のひとつ。この電車に乗ると、身だしなみを整えている人をよく見かける。天井だけでなく壁面にまで取り付けられた扇風機、フカフカの腰掛けにも、往時の工夫が見て取れる。
運転士にとっても「頼りがいのある電車」だという。88年から約7年間、ハンドルを握った和田潤一郎さんは「ブレーキの反応が良く、雨の日も混んでいる時も安定していた」と話す。
7000系は80両が造られたうち、今も稼働するのは24両だけ。徐々に数を減らしている。入れ替わりの新車に自動窓はない。何しろ1年中エアコンが入っている時代で、「節電の夏」の今年こそ久々に活躍したものの、独特の窓はもう普及しそうにない。