中学生のとき、友人と夜行列車で上野をたち、東北のローカル線を巡った。磐越西線に初めて乗ったのは、そのときのことだ。2月の下旬だったろうか
▼「あがの」という名の快速列車は2両編成のディーゼルカー。日が暮れて窓の外は何も見えない。新潟駅で買った、さほどうまくない駅弁も食べ終えた。寂しさが募る。が、一乗客の感傷をよそに、列車は郡山へ向けてひた走った
▼そういう力強さが、鉄道にはある。被災地に灯油やガソリンを届ける輸送路に、この磐越西線が選ばれた。九州や関西からかき集められた機関車の前頭部には「たちあがろう東北」と書かれたヘッドマークが掲げられたという。武骨な貨物列車の、何と頼もしいことか
▼津波で線路が寸断された第三セクターの三陸鉄道もそう。震災の5日後には一部区間で無料の「災害支援復興列車」を走らせた。全線復旧には膨大な費用がかかるだろうが、今も割引運賃で買い出し客らを運ぶ
▼気仙沼線、大船渡線、石巻線、南リアス線、北リアス線…。地震でズタズタにされた路線名から、漁村や山村をたどるかわいらしい列車の姿を思い浮かべる。早く直ってほしい。そのとき、つながるのはレールだけではないだろう。「鉄路のちから」を信じている。
(さ)
