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コラム〈前照灯〉107 【福島の日常】

2011年12月28日 水曜日

ごっとん、ごっとんと路面電車のようだ。福島と飯坂温泉を23分で結ぶ2両編成の福島交通飯坂線は、住宅の軒をかすめ田園地帯に出た。病院通いのお年寄りや制服姿の女子高生たちを乗せて走るローカル線だ。クリスマスイブのこの日、女子大生らしき5人組がピザやワインを手にはしゃいでいた。これからパーティーなのだろう

▼遠くに雪化粧をした奥羽山脈が美しい。ハクチョウが羽を休める松川を渡り福島から五つ目の上松川に着いた。単線で質素な駅の近くにある人気のラーメン屋には長い行列ができていた。列に並ぶのをあきらめ福島に戻ると、イブを祝う仙台行き観光列車が発車を待っていた。何の変哲もない日常があった

▼3・11の東日本大震災と原発事故からときが経ち、みんな何げない日常を笑顔で生きたいのだろう。だが、市内の放射線量が重くのしかかる

▼十数件あった旅館のほぼ半数が廃業や休業に追い込まれた温泉地もある。地震被害と風評被害、二重の苦難にはあらがえない。若葉、紅葉の観光シーズンを逃し、いまでも客は例年の3割ぐらいと嘆く

▼温泉大国の人たちに待ちに待った冬が訪れた。雪見の野天風呂は、心も体も十分に癒やしてくれる。福島にはそんな別天地が多い。だからもっと福島に行こう。

(O)