厳寒期を迎え、自宅周辺から望む富士山の姿が美しく見えるようになったので富士急行線に乗ろうと思う。もう一つの目的は「吉田のうどん」である
▼記憶をたどる。お盆に上州は渋川の父の実家を訪れると、祖母がうどんを打って待っていた。色の黒くて太い、堅いうどんである。飯茶わんに山盛りにし、盆棚に供えてあるのだが、突き立てたはしが直立したままだった。近くの伊香保には、細めで滑らかな食感の水沢うどんがある。しかし、温かい汁につけてワシワシと食べる祖母の堅いうどんが好みだった。腰の強さ天下一品をうたう「吉田のうどん」を食べてみたいと思う
▼かくして大月駅を発車した河口湖行き各駅停車2両編成は、最初の駅である田野倉と次の禾生の中間でリニア実験線と立体交差する。キョロキョロしていると、いきなり富士が山あいから白い顔をのぞかせた。この感じはJR大船駅に近づいたときに大船観音が急に顔を出す感じに似ている
▼若い車掌さんが紙を一生懸命読み上げる車内アナウンスによれば、同線は標高差約500メートルを登る「富士山に一番近い鉄道」だそうな。途中、絶好の撮影ポイントで停車してくれるのだが、惜しむらくは窓ガラスが汚れていて、窓を開けるのも面倒なのでガラス越しに撮影することに。やはり展望席を備えた快速運転の「富士登山電車」に乗ればよかったと軽く後悔する。新しい駅舎の下吉田に到着。うどんにたどり着けないので次回に続きます。
(N)
