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鉄道車両ができるまで―新型N‘EXとデザイン―(上)

2010年5月17日 月曜日

昨秋登場したJR東日本「成田エクスプレス」の新型車両、E259系。1991年から活躍している253系のコンセプトを受け継ぎつつ、斬新な先頭部が目を引く。内装面でも、座席の改良やユニバーサルデザインの採用など、最新のサービス水準に合わせた車両となった。今回は、このE259系を例に、鉄道車両の「デザイン」について考える。

【上中下の3回に分けて掲載します】

これまでのイメージと斬新さが融合したE259系

これまでのイメージと斬新さが融合したE259系

取材したのは、JR東日本の運輸車両部車両技術センター。

まず気になるのは、その外観。運転台が高い位置に上がり、下には連結した際に乗客が通り抜けられる貫通扉が備えられている。前面に大きくあしらわれた「N‘EX」のロゴも斬新だ。

NEX貫通扉

通り抜けが可能な貫通扉を備えたE259系。運転台が高い位置にある

一方で、車体のカラーリングは、「初代N‘EX」の253系に準ずる赤、黒、白の3色(253系はこれにグレーが加わる)。一般に、旧来の車両が新型車両へと置き換えられる際は、従来とは全く違うイメージの塗装になるのだが…。「N‘EXという、空港アクセス特急のブランドが253系で確立されました。そのイメージを踏襲しつつ、キーコンセプトを洗練、進化させようと考えたのです」

確かに「赤、黒、白」の車両が来れば、行き先表示を見るまでもなく、「成田空港」を連想するまでになっている。それをあえて変える必要はなかったのだ。実際、車体の側面を見ると、253系とE259系の区別はつきにくい。新型も旧型も、抵抗なく目になじんでいる。

新旧N’EX。左が1991年登場の253系、右がE259系

新旧N’EX。左が1991年登場の253系、右がE259系

ちなみに、253系から採用されたこの3色は、航空機が北極圏を飛ぶシーンから連想されているという。白(ポーラホワイト)は極地の色、黒は成層圏、赤は地平線に輝く太陽の色がイメージされている。

では、そもそも、この車両ができるまでに、どういった手順があったのだろうか。

「計画の初期段階から完成まで、2年ぐらいかけました」。最初の半年でコンセプト、基本的な仕様を決める。その際には、利用者のニーズや乗務員からの要望、メンテナンスのしやすさなどを盛り込む。車両によっては、実際に乗客にアンケート調査を行い、その結果を取り入れることもあるという。

こうしてあらかた固めた車両のイメージは、デザイナーの「GKインダストリアルデザイン」に伝える。そこから出されたいくつかのデザイン案のうち、採用されたものが、今走っているE259系というわけだ。

ただし、鉄道事業者として「譲れない部分」はもちろんある。運行にあたって必要な設備、法令で定められた安全性(防火性など)がそれ。もちろん、コストは大前提。デザイナーが造形や寸法、色合いなどを考える際には、こうした条件、制約が加味される。今回は、車体に使う素材(材質)もデザイナーから提案してもらったという。

(つづく)